ファミコンと鉄柱の物語。
DVDプレイヤーが壊れちゃいまして。
時間ありゃ映画みたい人だから
ここんとこののんびりタイムがなんとも不完全燃焼で。
でね。
どうせプレイヤー買うんなら
ゲームを買ってそれで再生すりゃいいじゃないか、と。
ゲーム機買うっちゅーのは
僕にとってタイソウなことなんです。
なんか、金額以上に構えるところがあって。
昔
ファミコンが全盛期だった小学校低学年の頃
うちの実家ではゲームを買ってもらえませんでした。
家中雨漏りの貧乏一家でしたけんね
ゲーム欲しいっつっても話さえ聞いてもらえない感じで。
でね。
ジャイアンツが負けて
父ちゃんが気分よく酔っ払ったある夜。
姉ちゃんと弟と三人で正座し
父ちゃんにファミコンを買って欲しいと直談判。
最初は全く相手にしてくれなかった父ちゃんも
あまりの懇願っぷりを見かねて
条件を出してきたんよ。
当時、うちの店には
直径10cmほどの鉄柱があって
父曰く「あの鉄柱に3人合計で1時間しがみ付き続けられれば
クリスマスプレゼントとして、お前らにファミコンを与えてやろう」。
気分良くなっちょった父ちゃんから引き出した
千載一遇のチャンス!
その日から3人は
鉄柱にしがみつく特訓を開始したんやけど
まーしんどい。
小学校の登り棒くらいの細さならまだしも
子供の手には太すぎる鉄柱に
皆悪戦苦闘しちょりまして。
本番当日。
壁に掛かった時計が8時を刺したと同時に
「よーい・・・スタート!!」
一番手の弟が棒にしがみつく。
「がんばれ!がんばれ!」
僕らの応援もむなしく、弟は3分でリタイア。
「ごめぇん・・・」。
続けざまに「えいやっ!」と僕が飛びつく。
緊張のあまり、手は汗でビショビショ。
弟の記録にすら届かずズルズルズル・・・。
男2人の合計が5分少々。
「ごめぇん・・・」。
ここで登場する真打姉ちゃん。
腕まくりで手足をしっかりタオルで拭き
気合十分の表情で、ピョ~ンと鉄柱にしがみつく。
とはいえ50分以上やけんね。
父ちゃんはニヤニヤしながらすでに勝ちを確信。
うちの場合、1度言った事は
絶対にくつがえらん家庭でしたけんね。
「よく頑張ったから買ってあげるよ」とか絶対ありえん。
僕らがファミコンを手に入れるには
大人になって自分で買うか
姉ちゃんが鉄柱に50分しがみつくかしかないわけです。
「頑張れ!ねーちゃん!頑張れ!ねーちゃん!」
僕らも応援に力が入ります。
10分。
20分。
30分。
真っ赤な顔をして鉄柱にしがみつき続ける姉ちゃん。
すげぇ。
この人には何があっても逆らえんな・・・。
「しんいち!足拭いて!汗で滑る!」
「は・・・はいっ!」
時間が経つにつれ
父ちゃんも面白がり始め
家族全員で姉ちゃんの雄姿に注目する。
「姉ちゃん!水!」
ストローを刺したコップで
水分補給を促しても
「・・・いらん!」
目を見開き、なるべく体を動かさないように
ただただじっと9時を待っちょる。
途中何度もずり落ち
地面に足が付きそうになるんやけど
その度に歯を食いしばり、必死に上に登っていく。
下手なスポーツ番組を観戦するよりは
絶対感動するであろう、奇跡の50分は
カウントダウンを聞き終えて地面に倒れこんだ
姉ちゃんの安堵の顔で幕を閉じた。
こうして平林家には待望のファミコンがお目見え。
数週間のうちに「一日2時間」の約束をやぶり
ファミコン禁止令が発令するまでの間ではあったけど
我が家にゲーム機があるという興奮と
恐ろしいまでの姉の執着心と根性を垣間見た
あまりにも強烈な思い出が
僕のゲーム機購入時にはいつもついてくる。
「わ!届いた!お嫁ちゃま!届いたぞ!」
包みを開けて中身を出すと
真新しい箱と、かっこいい「WII」の文字。

「うおー!すげー!WIIが来た!かっこいい!」
「卓球するか!?卓球!!すげー!卓球超おもしれー!」
購入から二週間経った現在
すでに飽きてしまった上に
Wiiのプレイヤーでは
DVDが見れないという致命的なミス。
胸の奥でカラカラと乾いた音がする師走の夕べ。
映画、見たいなぁ。あははは。
せっかくやからconkaに書けば良かった。
・・・ちゅうかconka原稿!締め切り過ぎちょる!あわわわ。
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