お盆にまつわるエトセトラ。
汗ダクダク流してシャカリキに張り切る季節。
それが私の「お盆」です。
正確には「お盆前」ですが。
我が店「山本鳳凰堂」は
このお盆時期
精力的に「盆提灯」を取り扱っちょります。
昔ほどではないものの
今でも初盆を迎える家庭では、平均3対(6個)は飾られるものでして
その他「籠盛(中に缶詰類等入った花飾り)」やもろもろのお供え物で
それらのご家庭は、綺麗に飾られておるわけです。
このお盆。
大体皆さんご存じやろうけど
この世を去られたご先祖様が
里帰りする3日間
という位置付けなのです。
ほんで
前年のお盆以降に亡くなられた方がいらっしゃるご家庭は
上記のような準備をして
より盛大に迎える風習があり、これを「初盆(はつぼん・にいぼん)」とよびます。
で
なんでいきなり「盆講座」??
そうね。突然講義始めちゃいましたね。
うちの店は
お願いされた、一人暮らしのご老人宅などで
初盆用の飾り付けのお手伝いなんかもやっちょります。
脚立に登ったりして天井から吊るすのとか
無理してやるとコケたりして危ないん。
ほんで
この「初盆」を迎えられる家族の話で
面白いのがあったんで、紹介しようかなぁ…と。
「私はもう提灯じゃんこ、沢山はいらんっち言ったんよ。
やけど親戚衆が『じいちゃんが帰ってくるんやけん
綺麗に飾ってあげんでどうーするんな!』っち言って怒るんよ。
みんなに好かれちょったけんなぁ、じいちゃんは。
やけど、あん人は昔っから照れ屋じゃけん
あんまり派手にすると
帰ってこんのじゃなかろうかと思ってからなぁ。」
腰の曲がったおばあちゃんは
ニコニコ笑いながら
写真の中のおじいちゃんを眺めちょりました。
「あ~も。
人が一人死ぬっちゅうのはこげー大変なもんなえ?
葬儀から盆から一周忌から
じーさんが先に逝ったもんじゃけん、私がミナせないけん。
銭ないっちょん残さんで、仕事ば~っかり残しちから。
なー!聞こえちょんのな!
あんた私が逝ったらシャっと面倒みらんえ!」
浜辺に住むこのおばあちゃんは
「口ゲンカする相手がおらんなって
寂しいもんじゃわ」っち
散々じーさんの文句を言った後
ちょっとだけ涙ぐんで話してくれました。
「ワシのうちにはな、兄ちゃん
30年前に死んだ息子がおったんよ。
あん時は嫁がホントに悲しんでからなぁ。
ほんで今年
ワシの嫁が入院しちょってな
いよいよどうにもならん状態になった時
『先生、○○(息子さんの名前)に会えるかなぁ…」っち
主治医にポツッと聞いたらしいんじゃ。
ワシにはそんなこと、一言も言わんので?
多分、ワシをこっちに一人で残すようで
申し訳なかったんじゃろうと思うんよ、ワシは。
……………
嫁にとっては初めて盆じゃけど
息子も一緒にこっちに帰ってきてくれるやろうけん
道に迷わんでいいわな?なぁ兄ちゃん?」
坂の上に住む80を過ぎたおじいちゃんは
「ごみの分別が難しくてようわからん…」っち言いながら
即席味噌汁の袋がいっぱい入ったゴミ袋を持って
僕らを見送ってくれました。
8月13日の夕暮れ時。
玄関の前で小さな焚き木に火を付け、合掌をします。
これは「迎え火」といって
ご先祖様がその煙に乗って里帰りをするためのものだと言われてます。
僕は正直
熱心な仏教信者ではありません。
神や仏が実際に存在するのか
真剣に考えはしますが、結論はだせません。
だけど
お盆という年中行事がこの国には古くから存在し
毎年、二度と会えない愛する人を思いながら
玄関で静かに迎え火を焚き
涙を浮かべて手を合わせる人たちを思うと
なんちゅうか
お盆っちいいなぁ…と思うわけです。
もしも来年
お盆の時期に実家や里に帰る人がいたら
亡くなったじいちゃん、ばあちゃんのことを色々と聞いてみながら
迎え火を焚いてみるのもいいかもしれませんよ。
初盆じゃなくても迎え火焚きますし。
ほんで
15日(あるいは16日)には
同じように焚き木を燃やし
「送り火」を焚いて、きちんと送って差し上げましょう。
なんとなぁくな。
なんとなぁくいいけん。
以上、お盆の話でした。
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