リンスさん。
シャンプーよりもリンスの方が偉いと思っているふしがある。
なぜか?
これを説明するのに必要な労力と
この情報のニーズを量りにかけた時に
果たしてつりあいが取れるのか否か
一抹の不安もあるが気にしない。
僕は「坊主」経験が長い。
小学生の頃はずっと「母ちゃん散髪屋」で坊主だったし
中学のスポーツ刈りをへて
高校野球でまた坊主。
卒業して旅をする間も
お金のかからない、
洗ってなくてもさほど気にならない坊主の時期が結構あった。
仏壇屋に入ってからも
嫁が必至に止めるのも聞かず
時々丸めたくなる衝動を抑えきれずに刈っている。
こんな僕の半生の中で
「リンス」という奴と拳を交える機会は決して多くはなかった。
興味本位で
姉ちゃんのリンスにはじめて手を出したのは小学生の頃。
坊主頭にベチャベチャと塗りたくってみたものの
泡がたたない。
当然
あの一気に髪が柔らかくなるサラサラ感など
五厘刈りの僕が実感できるわけもなく
役立たずのカッコツケという認識でしかなかった。
それから
リンスとあまりに劇的な再会を果たすまで
10年近い歳月がかかった。
高校3年。
夏の甲子園予選に敗れてから
僕ら野球部員は一斉に髪を伸ばし始めた。
2年半もの間
グリーンの芝程度のものしか乗っかっていなかった頭に
いまさら中分けツーブロックをかぶせてみても
周囲からは、竹中直人がコントでかぶる
明らかなズラのようにとしか見えない。
けれど僕のような田舎高校野球部員は
髪を伸ばした=大人になれたという
恐ろしく間違えた方程式を信じて疑わず
やっと一人前のお洒落さんにでもなれたかのような錯覚の中
鼻歌まじりで髪をナデナデ、鏡を眺めていたものだった。
そんなある日
再会は成る。
かつて役立たずのレッテルを貼ったリンスを
「俺もツーブロックだし、そろそろリンスもしなきゃやろ?」と
またもや姉ちゃんからコッソリ拝借し
たいした効果も期待せぬままベチャベチャ塗りたくってみた。
と、
毛が
毛がサラサラやっ!!!!
俺の毛がサラサラしよるっ!!!!
ショックだった。
まるで魔法でもかけたようにサラサラ。
あの衝撃は未だに鮮明に覚えちょるもの。
リンスっち・・・すげー!!!!
彼に対するこれまでの無礼を心から詫び
ボロ家の風呂場で深々とひれ伏した高校3年の秋。
それからというもの
リンスというお方は
シャンプーより数段偉い方なのだとの認識を深めました。
コンディショナーやトリートメントとの違いは
未だによくわからないまま
総称で「リンスさん」と呼んでるのだけれど。
ほんで
なんでこの話を書こうとしたのかっちゅうと
最近夫婦で一つのシャンプー・リンスを使っちょるのだけれど
僕はそんな思いがあって、リンスを乱用せんのですよ。
「ここぞ!」という日にしかリ使わないようにしてるのね。
大晦日とか。
誕生日とか。
大きなライブ前とか。
シャンプーの奴は毎日使うわけですから
当然リンスさんの減りは遅い。
シャンプーのボトルが空になる頃でも
4~5割は残ってるわけ。リンスさんが。
これがどうにも不憫な気がして。リンスさんに。
かといって
毎日使うっちゅうのはあまりにも馴れなれしい。リンスさんに。
そこで
僕の考えた対策が
2日に一回はボディーソープで頭を洗う。
これなんですよ。
ほいたら必然的にシャンプーの減りも少なくなるでしょ?
ボディーソープには相方いないから
割合考えずに利用できるし。
てなことを先日嫁に話したら
「しんくん馬鹿や!!」と罵られまして。
コスモス薬局のシャンプーコーナー
頭使って考え抜いた策を
まさかの馬鹿呼ばわりですよ。
それがなんか面白かったので
とりあえず書いてみたのです。
その嫁が昨日から熱を出しました。
僕は台所の隅で
「・・・ワシを罵った天罰じゃわい」と、
なぜか婆さん口調でつぶやきつつ
鴨ネギ雑炊をつくったのです。
終わり。
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